春は元気なRさん
新大学1年生になりたてのRさんが、報告がてら訪れてくれました。
入学式、ガイダンスが終わり、どの講座を選択しようかと履修要項も持参してきました。
雑談を交えながら講座の紹介文を読み、どんな授業なのかをいっしょに検討しました。
学生達への啓蒙的な授業なのか、教授の研究成果にそった専門的な授業なのかなどです。
また、専門分野以外にもRさんは、資格を取得するための講座を選択する気でいます。
図書館司書、博物館学芸員、栄養管理士などですが、卒業後の職業を視野に入れているようで、
ずいぶん成長が見られるようになりました。
「本当にこんな資格が役に立つのですか?図書館や博物館の数はそれほどでもないですし。」
授業数は履修限界の50単位を考えています。
さらにバイトにも挑戦する気です。部活動にも入ります。
しかし、田中はここでブレーキをかけます。
Rさんを小学生の頃より見続けていますが、春はいつもこんな調子なのです。
毎春、「何でもやってやろう。私は何でもできる。」とテンションがあがりいろいろなことに手を染めます。
けれども5月の連休が終わる頃になると、無理をしていた分「私はだめだ。能力がない。」と気落ちする時期を迎えます。
正確に毎年同じことを繰り返してきました。
「たくさん手を伸ばすと、また負担に押しつぶされるよ。」と田中。
その時期的な反復をRさんに話をしました。
多少は理解してくれたようです。
ある程度自分の性格を客観的に見られ、他人の忠告に耳を傾けられる年頃になってきました。
「Rさん、春は一番輝いているけれどね。」