定期テスト前になると泣きついてくるのはKさんです。
「先生、頭が悪くて覚えられないです。」深刻そうな顔つきです。
そのような子ほどふだんの勉強に熱心ではありません。
解決をあと延ばしして、逃げ場がなくなるとパニックになります。
クールダウンさせながら、覚える作業に導かなければなりません。
「先生はいつも見ているけれど、頭がわるいわけではないと言い切れるよ。」
まずは、はげますことから。
「何を覚えようとしているか見せてごらん。」
英単語なり漢字なり覚えようとしている全体量を把握させます。
「こんなにたくさんをどうやって覚えようとしたの?」
自分が行った暗記法を認識させます。
「そんなんじゃ、覚えられるわけないじゃないの。デジカメで写すわけではないんだし。」
覚えられないとすがりついてくる子どもは、「楽して」「速く」「たくさん」覚えようとしています。
それができないと短絡的に「あー、自分はダメだ」とガックリきます。
ですので、その逆だと気がつかせねばいけません。
つまり誰でも「辛くて」「遅いし」「少し」しか覚えられないのだと。
「もう少し工夫しないとね。覚えて忘れていじけて、また覚えて忘れる繰り返しだからね。」
究極の魔法のような暗記法はありません。
自分にあったものを見つけるためには、試行錯誤が必要です。
ノートやカードにまとめたり、声を出したり身振り手振りを使って。
指導する側は、いろいろやらせて過程を見ながら、また創意工夫や努力をほめながら、矯正しなければなりません。
暗記したものが「記憶」として昇華しているかどうかです。
たくさん無駄な努力をした子どもが、自分だけの最高の暗記方法を手にいられます。