コロボックル
小学生のAさんのお母さんから前回の面談の際、もっと子供に本を読ませたいとご要望がありました。
なかなか家では読書の習慣がつかないようで、心配されています。
そこで田中が毎回少しずつ本を読むように指示し、Aさんはその範囲を読んで、内容や感想を話すことにしました。
一回の読む量はいやがらない程度にしていますので、そんなに読み進めることはできません。
もう3ヶ月目になりますが、1冊を読了しただけです。
本はご家庭で選んでもらっています。
今読んでいる2冊目は、佐藤さとるの『だれも知らない小さな国』です。
親御さんの世代には夢中になって読んだ記憶を持つ方がおられるのではないでしょうか。
コロボックル(こびと)が自分の周りに現れないかと探し回った経験もおありではないでしょうか。
このAさんの読んでいる文庫本はお父さんが読んだものだそうです。
年季が入っている本です。本当は毎回の量などを決めずに、心のおもむくままに読み進めてほしいと思っています。
「先生、おもしろいので全部読んできました」くらいに。
しかし、Aさんは律儀にも機械的にも課題をこなすように読んでくるだけです。
コロボックルの話をAさんとしていると、夢中になるのは田中のほうだけです。
本を読んでワクワクするような気持ちは、なかなか伝わらないものです。