定期テストの準備 ①

もうすぐ、中学にあがったばかりの子どもにとっての初めての定期テストがあります。

毎年この時期には、子どもにテスト準備の手ほどきをします。

小学生の頃は成績がよかった子が、中学生になり不調になるこがあります。

いわゆる「中学生の勉強法」への切り替えができないのが理由でしょう。

スポーツもそうですが、初心者には早めに定番の「型」を身につけさせることが上達への近道です。

田中塾での新中1向けのテスト準備を紹介します。

・「試験範囲を一緒に眺めてみる」
 
子どもは試験範囲表が何を意味し、どう取り組むべきかをまだ把握できていません。

いつテストがあり、何の教科のテストをするかなどの事実をイメージさせることから始めます。

要求されているポイントは何か、そのためにどのような作業をこなすべきかを認識させます。

・「範囲表の内容をひとつずつ攻略していく」
 
今までのテストと違い、授業で習わない内容も出題されることを伝えなければなりません。

子どもは「先生、このページは授業で読んだだけです」や

「このページは授業で抜かしました」と言います。

だから出題されないというわけではないので、範囲に入っている限り準備は必要だということを言い聞かせます。

・「数学の計算は暗算をさせない」

子どもは「暗算できることは、頭がよくて楽だ」と考えています。

しかし計算の「型」ができないまま中2になると、連立方程式でほとんどの子がつまずきます。

自分では正確に暗算しているつもりですが、一行一行積み重ねてやっと正解にたどりつくような問題が解けなくなります。

ですので「暗算は遅くて間違えが多いものだ」と考えを転換させなければなりません。

田中の口癖は「計算は頭でなく、手でするもの」です。

また、計算はノートにきっちりさせます。

区切れの線を引き、問題ページ、問題番号をしっかり書かせます。

また、行と行や列と列との間隔に留意させ、適度な数字や文字の大きさ、「+」「-」などの記号も明確に表すようにします。

特に字を小さく書く子は、自分の字を誤認する傾向がありますので、それも早めの矯正が必要です。

「答えが合っていればよい」という短絡さや横着さは徐々に自分を追いつめていきます。

ケアレスミスが多い子ほど、ていねいさが欠如しています。

・「社会や理科のまとめノートを作る」

田中塾では、「一問一答」形式のノート作りを勧めています。

教科書、資料集、学校ノートを参考に、自分が先生ならどの問題を出すかを想像させます。

「問 最も古い人類である猿人はいつ頃どこに現れましたか?」

「答 400万年前にアフリカ」

「問 なぜ猿人は森林から草原に暮らしの場を移したのですか?」

「答 環境が変わり森林が少なくなってきたから」

「問 顕微鏡の倍率はどのように決めますか?」

「答 接眼レンズの倍率×対物レンズの倍率」

「問 胚珠が子房で包まれている植物を何と言いますか?」

「答 被子植物」

社会・理科では図表の出題が多いので、その対策として教科書や資料集をコピーし、ノートに切り張りさせます。

例えば、「マンモス」「ナウマン象」「オオツノジカ」の画像を張り、

それぞれの名称を答えられるようにします。

このような作業を繰り返すと、学校授業にたいして望む姿勢や集中力が養われます。

また、テストに出題されそうな箇所に気付く直感力も身に付いてきます。

市販の暗記ノートやカードを購入して、その作業を代役させようとする子がいます。

しかし、その繰り返しでは自分の勉強スタイルがいつまでも身に付きません。

あくまでも勉強の道具は、自力で創意工夫して作るものだと思います。

・「英語のスペルはきちんと書けるようにする」

英検などもそうですが、最近の英語のテストではスペルまで強要されていません。

子どもの中にも「英単語を書かせる問題は出さないって言っていました」

と異議を唱える子はいます。

しかし、目先の点数や順位より定期テストを通じ自分の勉強スタイルを身につけることが優先としていますので、認めるわけにはいきません。

また、中間テストから次の期末テストまで、期間が短いのにかかわらず範囲は長くなります。

ですので、中間の準備をしながら先の期末テストの準備も並行にしないと間に合いません。

その他、漢字練習の仕方、準拠問題集の利用法、国語の文法や読解の対策など、

全般に目を向けさせるようにしています。

しかし、全教科に万全の準備ができない子どもにいたいしては、優先順位を付けさせ、軌道修正させることも必要です。

まとめノート作りに熱中しているDさんには、

「ノートはカラフルで見やすいけど、時間がかかりすぎて暗記する時間がなくなりますよ。」

学校のワークをさっさと済ませて安心しているEさんには、

「間違えた問題をどうするつもりなの?放っておくのかな?」などと声をかけていきます。

自分の勉強スタイルを身につけるには、早くて1年間はゆうにかかります。

定番の「型」をまねることから初め、だんだんと自分に合わせて完成していくものです。

たくさんの試行錯誤と無駄と失敗を、繰り返した後でしか身に付かないものだと思います。
 

 

2018年11月25日