文章題が苦手

小学生低学年のSさんのお母さんは、文章題が苦手なことを気になされています。

ご家庭でも手間ひまをかけ試行錯誤をなされた様子です。

「わり算」は未習ですので使いませんが、「足し算」「引き算」「かけ算」の区別が上手にできないようです。

この春入塾したばかりのSさんを観察して、いくつか見えてきた原因を述べてみます。

・「1から10くらいまでの数しかイメージができない。」

学校では千の単位まで扱っていますが、Sさんは1,2,3,4,と数えていって、

10くらいまでは、鉛筆が10本、おはじきが10個とイメージできるのですが、

それ以上になると単に「たくさん」としかとらえられないようです。

ですので、問われているのが、増やすべきか減らすべきかを判断できないようです。

・「時間を逆にさかのぼれない。」

文章問題を解くには時間の概念が必要です。

たとえば「校庭に子どもが10人いました。それから3人帰りました」という場合、

時間が「過去」から「現在」に流れます。

Sさんにもこの推移はイメージできます。

ところが「3人帰る前は10人いました」と、

「現在」から「過去」へ時間をさかのぼらなければならない場合に、混乱してしまいます。

同様に「5ひいたら6になる数は?」など、計算した「前」のことを問われるのが苦手です。

・「3と三つの区別ができていない」

 個数の「3」と束として扱う「三つ」の違いは子どもにとっては難しいものです。

「3が三つあったらいくつ?」のような問いは混乱するばかりです。

「3を1つと考えてみると」という思考が必要になります。

小学高学年になってもあやふやな子どもは、「割合」や「比」の単元でつまずいてしまいます。

・「繰り下がり繰り上がりの練習が必要である。」

繰り上がりや繰り下がりのある、二桁の足し算引き算を筆算をよく間違えます。

それは10を固まりとしてイメージできないので、借りたり返したりができてないように思われます。

 お母さんに直接説明しましたが、これらは過度に懸念される程度ではないと思われます。

Sさんは集中力があり一生懸命勉強する姿勢があります。

向上心もあります。

ですので適切な訓練と時間があれば自然にクリアーできるでしょう。

心配なのは、成果を急ぐあまり文章題に対してコンプレックスをもつようになったり、

間違えることに過度におびえるようになることです。

Sさんの成長するペースに合わせて、学習を進めていこうと思っています。

 

2018年11月25日