能力にじゃまをされる子
子ども本人はもちろん親御さんも「勉強ができる」ようになりたいと思っています。
家庭や学校、習い事先などでいろいろな試みを重ねて、日々の苦労は枚挙にいとまはありません。
ところが、田中がたくさんの子どもと出会ってきた中で、何の苦労もしないで「勉強ができる」ようになれる子が何人もいました。
例えばAさんです。
反射神経と瞬間的な記憶力、それにテストに出そうなツボを押さえるのが巧みで、テストの準備で苦労することなく良い結果を得てきました。
親御さんの希望は少しは勉強をして欲しいのですが、トップというわけではありませんが常に上位をキープしていますので、「成績が悪いから勉強しなさい」と叱咤激励する根拠もありません。
しかたなく放任を続けることになります。
しかし学年が進むにつれてただ暗記しただけの勉強から、じっくり総合的な能力が要求されるようになると、Aさんのような薄っぺらな子は対応できなくなります。
順位とともに志望校のレベルも徐々に下がっていきます。
現状を変えるためには、地道な対応が不可欠なのですが、自分の能力に対する過信や自負心、それに「勉強なんて本気を出せば簡単だ」という傲慢心がじゃまをします。
いっそそんな能力がない方が、Aさんはコツコツと大成したのではないかと恨めしく思われます。
このような子に対する対応は、努力をしても勉強ができない子に対する手間ひま以上に、実は難しいものです。