宿題の管理

田中塾では宿題を各々の子どもに課しています。

一斉に同じレベル、量を出すということはしません。

現時点で適切であろう課題を吟味して出しています。

しかし、どうしても宿題をすることができない子どもがいます。

本人たちはズルをしているとか、さぼっている自覚がない子です。

宿題という概念がなく、宿題をする習慣もありません。

しないことによる罪悪感もないです。

宿題は家庭学習の前段階ですので、早い時期に慣れさせなければなりません。
 
そのような子どもには、「宿題チェックシート」を発行し、

記入させ、管理することにしています。

次回までの宿題の内容、宿題をした日にち、確認印をチェックします。

今渡されているのは三人です。

Aさんは、「宿題チェックシート」を付けるようになって、2ヶ月くらいから効果が出ました。

漢字プリント2枚、ことわざプリント2枚、算数1枚の量をきちんとできるようになりました。

さらに、宿題は塾に来る前日までに終わらせることを勧めていて、それも守れるようになりました。

字はていねいで、時間をかけて問題をじっくり解いてきています。

家庭学習の基本態勢ができてきました。

そろそろ「宿題チェックシート」を中止してもいい時期に来ています。

Bさんは、3ヶ月くらい続けていますが、やっとここ最近になって、

宿題を提出できるようになりました。

ひとつの前進です。

しかし、塾に来る前の短時間で形だけ整えてくるやっつけ仕事です。

習慣づけさえできれば、内容は日増しに整ってきそうな気がします。

もう少し継続しようと思います。

Cさんには、二人以上の長期間「宿題チェックシート」の記入と提出を課していますが、未だできません。

叱ったり、家に帰したり、反対におだてたりしても効果なしです。

「宿題チェックシート」を紛失すること数回、そのたびに再発行しています。

塾に来るたびに、Cさんは前回田中から課せられたことを意識に上らせることができません。

いろいろ観察してみると、Cさんは年齢の割には「時間の概念」が未発達であるのではないかと考えています。

子どもは「今」の瞬間を生きていて、成長するに従って、「過去」や「未来」をイメージできるようになります。

年齢を重ねることによりその範囲は広がっていくのですが、広がりのスピードが遅い子もいます。

ですので概念付けが未熟な子には、「来月のテストの準備をしなさい」「今から受験のことを考えなさい」「職業のことを視野に入れなさい」という忠告は、子どもにとっては想像ができず、内容を持たないものになるでしょう。

同じく、「以前、お母さんの言ったとおりになったでしょう」と「過去」への反省を促しても同様です。

大人は、「過去」「現在」「未来」へとつながる因果関係を経験上知っています。

しかし子どもは「現在」と「ちょっと未来」の範囲の中に生きています。

簡単に子どもの時間の概念をチェックするには、

「この前の日曜日に何をして遊んだの?」

「去年の夏休みにどこへ行ったんだっけ?」

「今度の大事な試合はいつなの?」など

近い「過去」や近い「未来」に対しての質問をすることです。

時々親御さんから「この子は計画性がない子です」と心配され相談を受けることがあります。

主因を田中は計画を立てる前提である「時間の概念」の欠如だと考えています。

「時間の概念」は周りが直接言葉や態度で教えることができません。

自らが生活の中でいろいろ経験するものだと思います。

当分の間、Cさんと田中は、同じ時間軸に合わせたペースで学習を進んでいきます。

 

2018年11月25日